今は学生がノートをとりながら聞き入っている

村上ファンド設立当初は、オリックスなどの小口支援を含め40億円に満たなかった運用資産が05年に1500億円を突破。
最盛時の06年には約4500億円に達した。
出資者の期待に応えなければ……。
この頃の村上は周囲にくり返している。
膨れ上がった資産を効率的に使うため、規模の大きな企業を投資対象にせざるをえなくなっていった。
阪神電気鉄道への投資はその象徴だった。
05年に発行済み株式の４割近くを取得し、株主価値の向上に向け阪神タイガースの上場を提案。
グループとしての球団保有を主張する阪神側と鋭く対立し、最後は阪急ホールディングス（現阪急阪神ホールディングス）によるＴＯＢという、関西私鉄の再編劇にまで発展した。
06年の村上逮捕は政官財のタイガースファンを怒らせたことと無関係ではない。
あくまで俗説だが、それほど当時の村上は社会への挑発の度合いを増し、親しい友人もコントロール不能になっていた。
今はシンガポールを拠点にアジアの不動産投資をしている。
当時の教訓を生かしているのか、投資は自己資金で行い、目立つことを注意深く避けている。
村上ファンド創業メンバーの一人、丸木強は株式投資を再開している。
今年３月には大和冷機工業の株主総会に出席し、自己資本利益率の向上策などをただした。
言っていることは昔と変わらないが、環境はかなり変わった。
今やガバナンス改革は成長戦略のひとつ。
多くの企業が株主との対話を模索する。
今年１月、丸木は東京大学法科大学院のゼミに招かれ「投資家からみた日本企業と株主価値向上の課題」について講義した。
15年前に財界人を戸惑わせた株主主権論に、今は学生がノートをとりながら聞き入っている。
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太極拳東京
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